つらいと言えば良いのだろうか。
そう言って泣けば満足するのだろうか。
俺は。
そうすれば君に隠すものはもう何もない。
心を全部渡してしまって、そしたらもう全部やめちゃいたいななんて考えることもなくて楽しいかもね。
けれどそうして重たくなってしまった君の心はどうなってしまうのか。
重く沈んで君まで死にたいと思ってしまって、笑顔が見られなくなったら嫌だなあ。
結局自分の重しを誰かに肩代わりしてもらいたくて、君が一番都合が良いだけなのかもしれない。
俺は君のことが大事だから、君には教えてあげないよ。
ほんとうを言えば君はいなくなるんじゃないかと怖くて仕方がないからなのだけれど。
そう告げれば君は絶対に傍にいると言いたいだろうけれど、そんな絶対があり得ないことは俺も君もよく知っている。
二人で悲しくなるのは嫌なので、辛いのは俺だけで充分なので。
だから君は俺の絶望なんか知らずに愛して欲しい。
なのに賢い君はいつか気付いてしまうのだろう。
知られたくないことは、忘れるのが一番良い。そして都合の良いように世界を創りなおせば完璧だ。
けれど冥界を司る閻魔大王が世界を変えるわけにはいかないので、いつ君に知られてもいいように、俺は毎日君に幸せだと告げる。
何を聞いても何を知っても、君が俺の前からいなくなってしまわないように。君が傍にいる幸せを、君が俺から奪ってしまうことがないように。
優しい君に呪いをかける。
「愛してるよ」
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≫鬼男編。
閻魔様の嘘。
閻魔は鬼男くんに頼ったり甘えたりするけれど
本当は絶対に傍にいて離れないでって言いたいので
まだ全然足りないっていう。
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