※Qカヲシンで学パロのつもりです。




 泣きそうな声で好きと呟いた彼は、一分もしない内にやはり涙を流してもう一度好きですと囁くような声で告げた。
 俯いた彼の頬を伝って、大粒の涙が地面に落ちる。僕は手を差し伸べてその涙を受け止め、濡れた頬を拭った。外気に晒されて冷えた皮膚と対照的に、彼の大きな瞳から零れ落ちたばかりの涙は温かい。それを擦り付けるように掌で頬を包み、指先で耳朶に触れ、彼の顔を上げると、驚いて見開かれた目の端から零れた涙を舐めとって抱きしめた。紺色のダッフルコートが冷たいから、彼の体はせめて温かくあって欲しいと思う。抱きしめる。抱きしめる。ぎゅっと、彼の体も心も全てをこの両の手の中に掻き抱く。
「シンジくん」
 君の他には誰も要らない。
「愛してる」
 彼が息を呑み、少し鼻をすすった。また泣いている。おずおずと、彼の両手が僕の背に回されて、指の先でピーコートを握った。雷に打たれたような衝撃だった。彼が僕に触れている! 勢い良く彼の体を引き剥がすと、またびっくりしている彼に微笑みキスをした。涙の味のキスだった。





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2012.12.15.
勢いだけで書いた初カヲシン。謎シチュ。
Qであっさりカヲシンにはまりました。カヲルくん……。
学パロで、同級生で、友達で、
シンジくんのことが好きな気持ちを後生大事に隠してたカヲルくんと
カヲルくんのことを好きになった気持ちが辛くて仕方がなくなったシンジくん
を書きたかったんだと思います、はい。